日本国内で実施される選挙を「選出する議員の種類」によって大きく分類すると、衆議院議員総選挙・参議院議員通常選挙・一般の選挙・特別の選挙の4つに分類されます。
- 衆議院議員総選挙
- 参議院議員通常選挙
- 一般の選挙
- 特別の選挙
そして選挙は、選挙をする「理由」があって初めて、実施の運びとなります。
また、選挙は選ぶ人の権利である「選挙権」と、選ばれる人(選挙に出る人)の権利である「被選挙権」の2つが相まって成り立っています。
選出議員の種類と選ぶ理由、そして、「選挙権」と「被選挙権」。
これらが正整した上で、私たちは、「選挙」という社会参加によって、国や地域をより良いものにしていくことが出来るのです。
このページでは、これらの選挙の全体的な概要についてわかりやすく説明しています。
選挙を行う上での分類(「誰」を「なぜ?」)
法律で定めれら、日本国内で実施される『選挙』という行為には、2つの重要な分類が存在します。
【誰】を選ぶ選挙か?というのが1つで、もう1つは選挙を行う【理由】です。
- 選挙で誰を選ぶのか?
- 選挙を行う理由は?
「誰(だれ)」とは、選挙によって公職に就く人を選ぶということですが、その公職には、国会議員や都道府県知事・都道府県議会議員、市区町村長・市区町村議会議員などの定められた対象者が存在します。
○○市で市議会議員選挙が行われる場合、【誰】とは、市議会議員の公職に就く人ということになります。
そして、選挙を行う理由ですが、正確には「選挙事由」と言います。
具体的には、任期満了、議会の解散、死去・辞任などによる「議員の欠員」などのことで、選挙を行って議員を確保しないと、議会が運営できなくなってしまうという理由になります。
選挙で選出する公職の種類
国内の全ての選挙を大きく、公職の種類によって改めて分類をすると以下のようになります。
- 衆議院議員総選挙(国政選挙)
- 参議院議員通常選挙(国政選挙)
- 一般の選挙(地方自治体が行う地方選挙)
- 特別の選挙(国政選挙と地方選挙の両方)
衆議院議員総選挙とは
衆議院議員総選挙(衆院選)とは、国会議員である衆議院議員の全員を選ぶ(全員改選)ために行われる選挙です。
「衆院選」を行うべき理由には、衆議院議員の任期満了(4年間)によるものと、衆議院が解散した場合の2つに分けられます。
次に説明する参議院銀選挙が毎回、議席の半数を改選するのに対して、衆議院では、全員を改選するので、総選挙、つまり『衆議院議員総選挙』と呼ばれます。
そして選出の方法に、『小選挙区選挙』と『比例代表選挙』の2つがあります。
小選挙区選挙とは、全国をブロック割して、その中に小選挙区という地区割りを設けて、その区域内で行う選挙です。
比例代表選挙は、立候補した政党への投票数の配分で、各政党の当選人数が決められ、あらかじめ各政党で順位付けした立候補者から当選していくという方式です。
2020年2月現在、衆議院議員の定数は465人です。そして、この内289人が小選挙区選出議員で、176人が比例代表選出議員となっています。また、小選挙区選挙と比例代表選挙は、同じ投票日に実施されます。
衆議院を解散する権限は内閣総理大臣にありますが、衆院解散は時に、政権交代ともなりうる一大事です。政権交代は政治関係者にとっての一大事であるばかりでなく、実は、国民にとっても一大事なのですが、政治に関心のない人々にとっては対岸の火事の如し、というのが実情です。
そのような中、選挙の持つ重大な意義に関心を抱き、これを追っている団体や個人も数多く存在します。そういった団体等の中で有名なサイトが政治山や選挙ドットコムですが、それらのサイトでは、衆議院議員総選挙から地方議会議員選挙に至るまで、その動向を追い、開票速報・当選結果を配信しています。
参議院議員通常選挙とは
参議院議員通常選挙は一般に、参議院議員選挙とか参院選と呼ばれる、国会議員である 参議院議員の内、その議席の半数を選ぶための選挙です。
参議院には衆議院のような解散は無く、常に任期満了(6年間)によるものだけとなります。
2020年2月現在、参議院議員の定数は284人です。この内100人が比例代表選出議員で、148人が選挙区選出議員です。この点は衆院選と同じです。
一般の選挙(地方自治体が行う地方選挙)とは
『一般の選挙』には、「一般選挙」・「地方公共団体の長の選挙」・「設置選挙」の3つがあります。
- 一般選挙
- 地方公共団体の長の選挙
- 設置選挙
一般選挙とは
一般選挙とは、地方自治体(地方公共団体)の議会要員を選出する選挙のことです。具体的には、都道府県や市区町村の議会の議員全員を選ぶ選挙です。
「地方選挙」を行うべき理由には、任期満了(4年)だけではなく、議会の解散などにより議員または当選人の全てが存在しなくなった場合も含まれています。
地方公共団体の長の選挙(首長選挙)とは
地方選挙でありながら、一般選挙とは分類の違う選挙に「地方公共団体の長を選ぶ選挙(首長選挙)」があります。具体的には、都道府県知事や市区町村長など地方公共団体の長(市長や町長など)を選ぶための選挙です。
「地方公共団体の首長選挙」を行うべき理由には、任期満了(4年)の他に、住民のリコール(直接請求)による解職や、不信任議決による失職・死亡・退職・被選挙権の喪失による失職などがあります。
設置選挙とは
一般選挙と地方公共団体の首長選挙の他に、『設置選挙』というものがあります。これは、新しく地方公共団体が設置された場合に、そこの議会の議員と首長を選ぶために実施される選挙です。
特別の選挙(国政選挙と地方選挙の両方)とは
特別の選挙に分類される選挙には、「再選挙」・「補欠選挙」・「増員選挙」の3つがあります。
- 再選挙
- 補欠選挙
- 増員選挙
再選挙とは
『再選挙』とは、選挙のやり直しや当選人の不足を補う選挙です。
実施した選挙で必要な議席定数満たされなかった場合や、投票日の後に当選者の死亡・当選の無効があったなどの場合で、かつ、繰上当選(当初の落選者の繰上げ当選)等によっても当選者が未だ不足する場合に行われる選挙です。
この場合、1人でも不足する時に実施するものと、不足数が一定数に達した時に実施するものとがあります。
補欠選挙とは
『補欠選挙』とは、議員の不足を補うための選挙です。
選挙で当選した者が議員になった後に死亡・退職し、さらに、繰上当選によっても議員の定数が満たない場合に実施する選挙です。
再選挙との違いは、当人がその段階で、議員であるかないかという点です。但し、既に議員であっても選挙違反などで当選や選挙自体が無効となった場合は、再選挙を実施することになります。
ちなみに、国政選挙の場合には、補欠選挙は原則として、年2回、4月および10月の第4日曜日に実施されることになっています。
2020年4月には、望月義夫元環境相の死去を受けて、『衆議院 静岡4区の補欠選挙』が実施されることになっており、補欠選挙の原則実施例に該当しています。
増員選挙とは
『増員選挙』とは、議員の数を増やす選挙です。
議員の任期中に、議員の議席定数を増やす(議席増)の採決がなされた場合に実施される、【地方公共団体の議会議員】の選挙です。
以上が、日本国において実施される選挙の全体的な概要となります。
「選挙権(せんきょけん)」と「被選挙権(ひせんきょけん)」
現在の法律では、私達日本国の国民は、18歳になると、国民(都道府県・市区町村)の代表者を選挙で選ぶことのできる権利が与えられます。いわゆる公職に就く者を選挙によって選べる権利で、これを【選挙権(せんきょけん)】と言います。
そして、その後、ある年齢に達すると、今度は選挙に出て、国民(都道府県・市区町村)の代表者になる資格が与えられます。選挙に出馬する事ができる権利で、これを【被選挙権(ひせんきょけん)】と言います。
選挙権と被選挙権という2つの権利があいまって、よりよい社会づくりに参加できるように定められた制度です。
選挙権と被選挙権が必ず備えるべき条件について
選挙権を持っているためには、「積極的要件」と言って、必ず備えていなければならない条件)と、「消極的要件」と言って、1つでも当てはまった場合に「選挙権を失う条件」があるので注意が必要です。
被選挙権も同様で、選挙の出る一定の資格を維持するための条件があります。なお、被選挙権を失うことになる条件については、選挙権と同様となっています。
「選挙権」が備えていなければならない条件
衆議院議員・参議院議員の選挙の場合
- 日本国民で満18歳以上であること
- ※18年目の誕生日の前日の午前0時から満18歳とされます。
知事・都道府県議会議員の選挙の場合
- 日本国民で満18歳以上であり、 引き続き3カ月以上その都道府県内の同一の市区町村に住所のある者
- ※引き続き3カ月以上その都道府県内の同一市区町村に住所を有していたことがあり、かつ、その後も引き続きその都道府県の区域に住所を有する者を含む。
市区町村長・市区町村議会議員の選挙の場合
- 日本国民で満18歳以上であり、 引き続き3カ月以上その市区町村に住所のある者
「選挙権」を失う事になる条件
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
- 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
- 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
- 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
- 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている者
「被選挙権」が備えていなければならない条件
- 衆議院議員:日本国民で満25歳以上であること。
- 参議院議員:日本国民で満30歳以上であること。
- 都道府県知事:日本国民で満30歳以上であること。
- 都道府県議会議員:日本国民で満25歳以上であること・その都道府県議会議員の選挙権を持っていること。
- 市区町村長:日本国民で満25歳以上であること。
- 市区町村議会議員:日本国民で満25歳以上であること・その市区町村議会議員の選挙権を持っていること。